プログラムと3Dプリントで進化するロボットおもちゃ。Cannybotsがパワーアップ

プログラミングと3Dプリントが学べるCannybotsが進化

これからのものづくりにおいて、大きな役割を果たすのがプログラミングと3Dプリントだ。アプリケーションソフトウェアでモノをコントロールするIOTプロダクトの普及には、プログラミングの技術は欠かせない。また、一人一人の要望に応じて製品をカスタマイズできる3Dプリント技術は近い将来、製造技術の中心となるだろう。

こうした二つの技術を身に付け、使いこなすためには現行の教育カリキュラムに取り入れることも必要だが、同時にもっと気軽に利用できる環境や製品の登場が望ましい。

本日ご紹介するCannybotsは、5月頭に発表されたプログラミングと3Dプリントが学べるレーシングキットだが、新たに進化してキックスターターに登場した。大幅に進化したデザインとともに、それは作って学べる次世代型の新たなおもちゃというような印象を受けるもので、既に開始24時間で目標金額の2倍の資金調達に成功している。単純に教育のみを目的とした無機質なキットではなく、子供達の自由な発想やアイデアを促進し、ロボット工学的な楽しみを味わえるものだろう。本日は新たに進化したCannybotsをご紹介しよう。

Cannybots動画

オートデスクのTinkerCADで誰でも超簡単に3Dカスタマイズ

今回一新されたCannybotsはおもちゃとしての、基本的な仕組みは変わらない。スマートフォンやタブレット端末のアプリでCannybotsをコントロールし、レースを楽しむというものだ。しかし、今回の製品化により「ロボット構築キット」としての製品コンセプトが確立しつつある。

ベースキットは、車体を構成するタイヤやモーター、スイッチ、バッテリー、USBケーブルなどとともに、7種類のステッカーで構成され、ユーザーが自分で組み立てて車体を完成させる。この基本となるキットのみでも遊べることができるが、従来からの3Dプリントやプログラミングとの連動がはるかにスムーズになった。3Dプリントでは、基本となるCannybotsのデザインデータをベースにオートデスクのTinkerCADという無料3Dアプリでカスタマイズすることができる。

TinkerCADは非常にシンプルなCADアプリケーションで3Dデザインと3Dプリントの入門には最適なソフトウェアだ。3Dプリントや3DCADに不慣れな子供達でもTinkerCADを使ったモデリングであれば、気軽に親しむことができる。もちろん、そこから先のFusion360へも進行することは可能だ。家庭用3Dプリンターは近い将来、本格的に普及すると予測されているが、Cannybotsの取り組みはより先進的なものだといえよう。

オートデスクのTinkerCadで簡単カスタマイズ
3DプリントでカスタマイズされたCannybots

ロボットと会話形式でプログラムするCannyTalkアプリ

もう一つCannybotsの特長として挙げられるのがプログラミングを学べるという機能だ。実は今回のバージョンアップで新たに追加されたプログラミング学習機能がある。それがCannyTalkと呼ばれる無料プログラミング・インターフェースだ。ロボットやモノをコンピューターで制御するためにはプログラミング言語によらなければならない。

しかしプログラミング言語は一般的には難解極まりないもので、専門のプログラム技術を習得したプログラマーでなければ自在に操ることはできない。

しかし、CannyTalkはロジックと構文から構成されるプログラミング言語を英語で入力した言語でCannybotsをプログラムできるようにするものだという。このCannyTalkはケンブリッジ大学のコンピューターサイエンス学科の研究者と共同開発されたアプリケーションで、Lineのようなチャットアプリのように動作する。下記の画像のように子供達が英文で言語を打ち込むと、自然言語処理エンジンによりCannybotsが理解できる形式に変換されるとのこと。

例えばこのCannyTalkを使って、Move forward(前進)と打ち込むとCannybotsはその言語を理解し前進する。画期的なのが、ミスタイプも想定の範囲内で、仮に前進を「Mvoe Forwards」、「Mov Forward」、「Move fkrwad」などと間違って入力しても正確に前進する機能を持つ。

このCannyTalkアプリによって子供達は複雑なプログラミング言語を使用せずとも、Cannybotsを自由自在に動かすことができるというわけだ。ちなみにこのCannyTalkアプリは6歳から12歳の子供たちを想定しており、それより年齢が下の子供にはグラフィカルプログラミングAPPとして、ボタンを押して操作するアプリケーションが使用可能。

CannyTalkアプリ。言語で指示を出せる
自由自在に動かせる

優れた走行性と機能性にコースも自作できる

以上がCannybotsの3Dプリントとプログラミングに関する画期的な特長だが、ベース機能そのものの完成度も極めて高い製品だ。デフォルトのモーターでは毎秒1.2メートルまで、最速モーターに変更すれば毎秒2.4メートルもの速度で走ることができる。またCannybotsの最大の特長はコースの色を読み取って走行することができるため、黒のビニールテープを使ってコースを自作することも可能だ。コースのテンプレートもダウンロード可能で、いわば車体からコースまで子供たちの創造性のままに広げることができる。Cannybotsのスペックは以下のとおり。

Cannybotsスペック

  • 速度:毎秒1.2メートル(デフォルトモーター)、毎秒2.4メートル(高速モーター)
  • 光学センサ搭載:黒いラインを検出して正確にラインを走行。
  • 通信:BluetoothLEを使用
  • バッテリー:充電式リチウムイオン電池
  • 自律航法を搭載:高精度ジャイロセンサー、コンパス、加速度計により自律航法が可能
  • ムードライト:マルチカラーライトを搭載し、アプリでカラー変更可能
  • チャットインターフェース:CannyTalkアプリでプログラムすることなく操作可能
  • 3Dプリント対応:オートデスクTinkerCADで簡単にカスタマイズ
  • 基本操作:THE JOYPAD APPで操作
黒いテープでコースが作れる
コースも自作し楽しみ方が無限大

まとめ デジタル時代に対応した新たな知育玩具

Cannybotsは今回のパワーアップによって、新たな知育おもちゃとしての地位を確立しつつある。中でも画期的な特長は、3Dプリントによる車体のカスタマイズに留まらず、コースまでもが作り出すことが出来るという点にある。

遊びたいという子供たちの創造力は無限であり、それが3Dプリントと黒いテープによるコースの自作によってさまざまな楽しみ方を与えてくれることになる。また、CannyTalkのようにロボットとの対話によって操作を学ぶという機能も斬新である。まさにデジタル時代に対応した新たな知育玩具だといえよう。

Cannybotsのキックスターターページ

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